【習志野市】元気の秘訣は「トマト」と「手刺繍」!96歳の山田さんが紡ぐ、健やかで瑞々しい暮らしの物語
習志野市には、市長から委嘱され、高齢の方々の暮らしをそっと見守り、良き相談相手となる「高齢者相談員」という方々がいらっしゃいます。今回、筆者が素晴らしい出会いに恵まれたのは、そんな相談員さんがきっかけでした。
「うえこみさんにぜひご紹介したい方がいるの!95歳で素敵な手刺繍をなさるとってもお元気な方がいらっしゃるんです!」
その言葉にわくわくして訪ねた先に待っていたのは、この4月で96歳を迎えられる山田さん。96歳という数字を疑ってしまうほどの生命力に、お会いした瞬間から心がパッと明るくなるのを感じました。

■規律正しく、健やかに。96歳の「食卓とルール」
山田さんの健やかさの秘訣は、自らを律する毎日の習慣にありました。朝7時半に起きると、まずは30分かけてじっくり新聞を読み込みます。次にその日の予定を書き出し、夕方5時までは「自分の時間」として刺繍の創作に没頭。あっという間に時間が過ぎ、「(時間が)いくらあっても足りないの」と楽しそうに笑います。テレビの内容も気になることはしっかりとメモ。

そして何より驚かされたのは、その食生活です。「卵やお肉も朝からしっかり食べるのよ」と笑う山田さん。 中でも、数十年一日も欠かしたことがないというのが「トマト」。水分量が多いトマトは自ら煮詰めて黒酢を加えた「特製トマトジャム」にしてしまうというから驚きです!

※相談員さんとのきっかけは、このオレンジのロバを縫ってくれる人を探していたことが始まりだったんだそう。
■家族と歩んだ針仕事の記憶
山田さんと針の付き合いは、半世紀以上。 洋裁学校で基礎を学び、その後は家庭を守りながら、ご自身のお子さんのお洋服をつくるうちに、ご近所の方に頼まれて注文を受けたりと、洋服作りが口コミで評判が広がっていったと言います。
「お金のためじゃない、早く仕上げれば喜んでくれると思ってね」。 スーツやワンピースなど、依頼も次々と舞い込み、夜を徹して縫い上げることも珍しくなかったと言います。 「糸を買いに行ったり、出来上がった服を届けたり……。小学生だった子供たちが本当によく手伝ってくれたの」 そう語る山田さんの脳裏には、重い荷物を抱えて津田沼の街を走ったお子さんたちの姿と、頼んでくれた人の為に無我夢中で針を動かした昭和の情熱が、今も鮮やかに浮かんでいます。

■溢れ出す、瑞々しい色彩の「手刺繍」
そんな山田さんが、90歳を過ぎてから「子供たちに何かを残したい」と、本格的に取り組んだのが「手刺繍」でした。お話を伺っているうちに、山田さんが「見せた方が早いね。こんなの作ってるのよ」と、作品を見せてくださったのですが、一針一針の密度が驚くほど細かく、それでいてふっくらとした立体感があり、ため息をつく美しさでした。

驚きなことに、なんと山田さんは刺繍枠を一切使わないんだとか。「手が枠がわりなんだよ」と、生地を巧みに操り、一針一針、正確に糸を走らせていきます。額入りの作品は下絵を描くところから始め、ひとつ仕上げるのに2ヶ月から3ヶ月ほどかかるとのことです。

■溢れる笑顔、今が一番輝くとき
そしてさらに印象的だったのは、山田さんご自身から溢れ出すエネルギーです。 96歳という年齢を感じさせない、ハリのある声で楽しそうに、淀みなくお話しくださるその表情は、驚くほど豊かです。

現在、谷津の「銀のひつじ」さんでは、山田さんの手がけたガーゼのハンカチやトートバッグなどを(とっても無欲な価格で!)購入することができます。ガーゼハンカチは赤ちゃん用ガーゼを2枚重ねて端をすべて手作業でかがり、さらに刺繍を施すという、手間の込んだ工程を経て作られています。

細やかな手仕事が施されたひとつひとつに、山田さんの「手にした人に喜んでもらいたい」という気持ちが宿っています。

今回の取材を通して、私は山田さんの手仕事の素晴らしさはもちろんのこと、その真っ直ぐで力強いお人柄に、すっかり魅了されてしまいました。山田さんのように自分を律し、誰かのために動き、元気に笑う人生の大先輩たちに負けないよう、私もまた、この街の物語を紡いでいけたらと思います!

- 住所
- 千葉県習志野市谷津4丁目5−20
- 定休日
- 月曜日、火曜日
- 最寄り駅
- 京成線谷津駅
- 電話番号
- 047-455-8130
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※情報は取材当時のものです。来店の際は公式情報をご確認ください。






