【八千代市】「設計図は書かない」85歳の現役クリエイター・森陸四郎さんの美しすぎる手作り工芸の世界
八千代市に暮らして約60年、現在85歳。毎朝通学路で子どもたちを見守る「スクールガード」に立つ森陸四郎さんには「表現者」としての顔があります。それは、身近な素材を魔法のように操り、気品あふれる芸術品へと昇華させるクラフト作家としての姿です。

森さんの作品をひと目見て驚くのは、その圧倒的な「重厚感」。 実はメインの素材として使われているのは、なんと「壁紙」。壁紙特有のしっかりとした質感や美しいテクスチャを活かしてボディを作り、そこに色鮮やかな和柄やちりめんの布地を装飾として貼り合わせていくのです。

驚くべきことに、これらの作品に設計図は一切ありません。 東京都立工芸高校デザイン科で学んだ確かな感性を武器に、材料を切り出し、接着剤の水分で素材を絶妙に伸ばしながら、シワなく仕上げていく――。

「似通った作品が続かないよう、常に発想を切り替える」という森さん。色や柄の調和がしっくりこない時は、潔く破棄してやり直すこともあるのだとか。その納得のいくまで突き詰める職人魂が、作品に唯一無二の命を吹き込んでいます。

森さんの優しさは、海を越えた東北の地にも届いています。2011年の震災翌年から、仙台市荒浜へ毎年欠かさず作品を送り続けてきました。 これまでに交わした手紙は100通以上。震災から時が経ち、現地の風景が変わっても、森さんの想いは変わりません。

「現地の方がお裾分けで喜んでくれるのが、何よりの活動の源です」 。そう微笑む森さんの活動は、単なる制作を超え、遠く離れた誰かの心に寄り添う「希望」そのもの。

かつては展示即売会も開催されていましたが、現在は「自分で作ることに集中したい」と、純粋な創作と贈呈を活動の柱にされています。 約20年続けているスクールガード活動も含め、森さんの日々は「誰かのために」という温かなエネルギーで溢れています。

森さんは85歳を迎えられた今も、感性はどこまでも瑞々しく、新しい素材やアイデアへの好奇心が尽きることはありません。次々と思い浮かぶデザイン、そして、その自由な想像力を鮮やかに具現化できる、確かな技と才能。温かな想いと熟練の技が一つになって生まれる唯一無二の作品を、今日も創り続けます。







