【習志野市】消防隊員の命を救う「RIT」とは?自分と仲間の命を救うプロフェッショナルの育成現場

2025年7月18日、習志野市消防本部・訓練センターにて「RIT(救難活動隊)訓練」が行われました。災害現場で、消防隊員は自らの命の危険と隣り合わせで活動しています。しかし、もし隊員自身が事故に遭い、救助が必要となったらどうなるでしょうか。その「もしも」に備え、隊員の命を守るため訓練が「RIT(Rapid Intervention Team/救難活動隊)訓練」です。

RIT訓練

火災現場や救助現場など危険な場所で活動中の消防隊員が、不測の事態により負傷したり、閉じ込められたりした場合に、自らまたは他の隊員を迅速に救出し、安全を確保せねばなりません。消防活動は常に危険を伴い、二次災害のリスクも存在します。

RIT訓練

RITという概念と、それを実践するための訓練は、隊員が安心して活動できる環境を担保し、万が一の事態に備えることで、結果として市民の安全を守ることに繋がっています。今回の訓練は、特に勤続年数3年以内の若い隊員を対象に、消防活動における安全管理の一環として、緊急時における隊員救出を目的に実施されました。

RIT訓練

訓練はまず、「RIT(救難活動隊)について」の座学から始まりました。RITの理念や行動内容について改めて認識を深めた後、いよいよ実技訓練へと移行します。

RIT訓練

【実技】サバイバルポジション

落下防止措置や訓練用呼吸器を使用し、高所や不安定な場所で自らの安全を確保する技術を確認します。

RIT訓練

隊員が危険な状況に陥った際に、いかに自らを守り、仲間が駆けつけるまで耐えるかを実践的に学びます。

RIT訓練

【実技】エンタングルメント

簡易防火水槽や水害用ロープ、ホースを使用し、狭い場所や視界不良の状況下で、絡まった障害物から脱出する訓練。

RIT訓練

実際の現場では、ホースや倒壊物などが複雑に絡み合うことがあり、そうした状況からの自力脱出、あるいは仲間による救助技術は極めて重要です。

【実技】FD-CPR

FD-CPRとは、Firefighter Down – Cardiopulmonary Resuscitationの略語で直訳すると「倒れた消防士の心肺蘇生法」。心肺停止状態になった仲間を救助するための訓練です。訓練用呼吸器、訓練用面体を使用し、負傷した隊員に対する初期の心肺蘇生法を訓練します。

RIT訓練

現場で倒れた仲間に対し、いかに迅速かつ正確に救命処置を施すかが求められます。

RIT訓練

これらの実技訓練を通じて、隊員たちはRITとして必要な技術を着実に習得していきます。

RIT訓練

そして、訓練の集大成ともいえるのが、実際の災害現場を想定した「総合訓練」です。想定されたのは、火災現場で突如「フラッシュオーバー」が発生し、複数(4名)の隊員が倒れるという極めて厳しい状況。

RIT訓練

フラッシュオーバーとは、火災が起きている密閉された部屋で、天井にたまった高温のガスが部屋全体を急激に温め、その熱で可燃物から出た燃えやすいガスが充満した結果、部屋全体が一瞬にして炎に包まれる爆発的な燃焼現象。これにより、火の回りが非常に速くなり、室内の温度は極めて高温になるため、避難する時間がなくなり、人命にとって非常に危険な事態、とのこと。

RIT訓練

倒れた隊員のうち1名は、意識レベル1(判断能力低下、今一つはっきりしない)、自力歩行不能で、介助や指示により多少の行動は可能な状態。倒れた原因は熱中症であると想定。

RIT訓練

緊迫した「メーデーコール」が響き渡ると、RITの原則に基づき、他の隊員たちが一斉に救助行動を開始します。

RIT訓練

現場(消防訓練センター)より負傷者を脱出させ、負傷者に対しFD-CPR(防火服脱衣)を実施。その後、アイスバスに投入し救急隊へ引き渡すという、一連の救助活動が行われました。

RIT訓練

今回の訓練では、負傷者兼コントローラー(上司)が安全管理も兼ねており、その判断で訓練を中止したり、危険行為への介入、隊員へのアドバイスを行うなど、より実践的な状況が再現されていました。

RIT訓練

隊員たちは、緊迫した状況下でも冷静に連携を取り、倒れた仲間を安全な場所へ迅速に搬送する姿はまさにプロフェッショナルそのものでした。

RIT訓練

今回のRIT訓練は、単なる技術の習得に留まらず、隊員同士の信頼関係とチームワークや、自身の技術の力量を改めて確認する場となりました。災害はいつ、どこで発生するか分かりません。

RIT訓練

そして、その現場で活動する消防隊員たちの命もまた、常に危険に晒されています。RITの概念と、それを実践するための訓練は、隊員たちが自ら、そして仲間を救うための重要な要素であり、彼らの高い技術と強い使命感が、私たちの安全を支えていることを改めて実感させられました。

RIT訓練

訓練を終えても、振り返りを続ける若い隊員たち。「気負い過ぎて現場で我を忘れて救助に当たり、帰らぬ人となる場合もある。自分や仲間を守る大切さも学んでもらいたい」と、熱い後輩たちに目を細めながら、上司の方は語っていました。

RIT訓練

これからもRIT訓練は継続され、その技術と連携はさらに磨かれていきます。消防隊員の安全が確保されてこそ、市民の安全も守られます。RITの行動と訓練に、今後も注目していきたいと思います。

RIT訓練

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